「春節」爆買い間近!!…高級ホテルほぼ満室、中国語スタッフ増員、ドラえもんでお出迎え

中国の旧正月「春節」にあわせた連休が7日に始まるのを控え、日本の観光、小売業界が中国人観光客向け商戦の準備を整えた。関西は格安航空会社(LCC)の就航拡大を追い風に、今年も13日までの連休期間中、多くの訪日客が見込まれる。訪日客のための施設、サービスとも充実してきた。

ホテル満杯で価格上昇

 中国経済の減速で、世界の金融市場は動揺し実体経済への悪影響も懸念されている。しかし、ANAホールディングスの平子裕志取締役は強気だ。「急激な円高にでも転じない限り、中国からの訪日客の動向は変わらない」。

 実際、傘下の全日本空輸の中国路線は、春節連休中ピーク時には予約数が前年比1割増となっている。

 国内8空港に乗り入れる中国の格安航空会社(LCC)、春秋航空は先週末の日本便がほぼ満席で「ピーク前後の週も予約がいっぱい」(日本支社)という。普段は片道8千円の大阪-上海線が、日によっては20万円前後に高騰している。

 ホテルニューオータニ大阪(大阪市中央区)では、春節連休中の稼働率は前年同期比で24ポイント上昇し91%。帝国ホテル大阪(同市北区)は約95%、ホテルグランヴィア大阪(同)も9割を超えている。

 宿泊料の平均単価は上昇しており、ニューオータニ大阪は前年同期より3千円ほど高くなった。帝国ホテル大阪では「富裕層の個人旅行客が伸びており、グレードの高い客室の予約が堅調」という。

案内も充実しました

 玄関口となる関西国際空港。国際線の保安検査場を4レーン増やして18レーンにしたほか、中国便が集中する時間帯には入国審査場で中国語が話せるスタッフを増員する。また、LCCの急増で深夜早朝便が増えたことを受け、いすを300席配置した仮眠スペースと、シャワーブース5室を設置した。

関空直営の免税店では、中国国内で約7億人が利用している人気の対話アプリ「WeChat(ウィーチャット)」にアカウントを開設。登録した人には商品の割引や、日本の観光情報などを提供する。

 観光庁によると、平成27年の訪日客全体の買い物代金1兆4539億円のうち、中国人の消費額が約55%(8089億円)を占めた。この傾向は今年も変わらないとみられている。

より買い物しやすく

 訪日客が買い物をしたあとでも“手ぶら観光”できるサービス拠点もある。JTB西日本が昨年12月、大丸心斎橋店(大阪市中央区)に開設した「関西ツーリストインフォメーションセンター」だ。

 中国、香港、台湾からの観光客客を中心に、手荷物の一時預かりやホテルへの有料配送サービスは日を追うごとに利用が増えているという。同社広報担当の金村義隆さんは「心斎橋界(かい)隈(わい)の店舗の販売拡大にもつながる」と話す。

 コンビニエンスストア大手のローソンは5日から店舗に設置したATM(現金自動預払機)で、中国で普及するクレジットカード「銀聯カード」の取り扱いを開始する。

 昨年春節の免税売上高が前年同期比3・3倍となった高島屋大阪店(大阪市中央区)は今年、さらに「50~60%増を目指している」(広報・IR室)。「ドラえもん」「ハローキティ」などアジアでも人気のキャラクターグッズを扱う期間限定コーナーを設け、握手会やスタンプラリーなどのイベントも開催する。

近鉄百貨店では、主要店の化粧品売り場などでスマートフォンを使った電子マネー決済サービス「支付宝(アリペイ)」を使えるようにした。阪急百貨店梅田本店(大阪市北区)は春節期間の免税カウンターを3席増やし14席体制にする。訪日客向けに臨時の案内カウンターを設置し、5人の中国人従業員が待機して、中国人買い物客をサポートする。