大気汚染物質PM2.5について、環境省は、都道府県の単位で濃度の数値予報ができることを目指したり、日本と中国の都市間の連携を強化したりするなどとした総合的な対策をまとめました。
PM2.5を巡っては、中国で深刻な大気汚染が発生し、年明けから春にかけて日本への影響も懸念されていることから、環境省は、新たに総合的な対策をまとめ、25日、井上環境副大臣が会見を開いて公表しました。
それによりますと、都道府県の単位などで濃度の数値予報ができることを目指して、大陸からどの程度、PM2.5が流れてくるかなどを予測するシミュレーションモデルを高度化させるとしています。
また、中国の大気汚染の改善に向けて、国内で大気汚染を経験した自治体と中国の都市との間で連携を強化したり、中国に進出している企業を対象に中国国内の大気汚染や必要な対策についての説明会を来月開いたりするということです。
このほか、国内でのPM2.5の発生を減らすため、専門家で作る委員会を新たに設置し必要な対策を検討することにしています。
会見で、井上副大臣は、PM2.5の予報について「天気予報のような形でPM2.5の予報があるとありがたいという声を多く伺っていて、国が責任を持って予報システムの構築に取り組むことにした。何年かはかかると思うが、なるべく早く実施したい」と述べました。
現在の予測は
PM2.5を巡っては、国立環境研究所が「VENUS」という名称のシミュレーションモデルを開発していて、現在もインターネットで利用することができます。
「VENUS」では、国内で翌日までに予測されるPM2.5の濃度を全国や地域ごとなどで1時間単位で見ることができます。
しかし、現在のシステムではきめ細かな予測が難しいほか、予測される濃度を大まかな幅でしか示すことができないなど、精度の面で課題があります。
このため、環境省は、PM2.5がどのように生成されるかや、大陸からどの程度流れてくるのかといった研究結果などを踏まえて、シミュレーションモデルの高度化を図り、数年後には、都道府県の単位などで翌日の数値予報ができるようにしたいとしています。
環境省大気環境課の横井三知貴課長補佐は「天気予報のように次の日の濃度レベルが分かるようになれば、行動にも気をつけていただけるようになるので、こうした取り組みで安心につなげていきたい」と話しています。