春節の上海便 佐賀空港、搭乗率増92%

中華圏の春節(旧正月)を迎えた8日、大型連休を海外で過ごす中国人旅行客が佐賀県内にも続々と訪れた。上海と佐賀空港を結ぶ飛行機の搭乗率は本年度の平均を大きく上回る92%を記録。中国の景気減速が伝えられるが、円安の追い風を受けて個人消費は依然堅調で、県内の商業施設では団体、個人客が大きな買い物袋を提げて歩く姿が目立った。

 洋館風のブランド店が高台に連なる鳥栖プレミアム・アウトレット(鳥栖市)。平日で肌寒く、日本人客はまばらだが、貸し切りバスや福岡市からの高速バスから次々に降り立ったのは中国や香港、台湾からの外国人客だった。

 「ホームページを見て初めて来た。リゾート地みたいな雰囲気で商品も安い。文句ないよ」。7日から福岡市に滞在しているという香港在住の50代の夫婦は、買ったばかりの「ナイキ」の運動靴やジャージーを掲げて笑った。

 同アウトレットには3年ほど前から外国人客が増え、本年度は12月までで10万人と前年度の2倍。加藤健太支配人は「中国を中心に海外の消費が売り上げをけん引している。客数は先週末から上り調子。今年も大勢の人に来てもらえそう」と期待する。

 長崎港や長崎空港経由の外国人客が多い有田ポーセリンパーク(西松浦郡有田町)もこの日、中国人客を乗せた大型バスが10台近く乗り付けた。伊万里牛が食べられる館内の高級和食店で昼食後、数万円の有田焼の花瓶のほか、土産品として焼酎や日本酒を買う親子連れもいた。

 海外からの玄関口として、格安航空会社(LCC)春秋航空の上海便が就航する佐賀空港。8日の同便の搭乗率は昨年4~12月の平均(85・8%)を上回る92・2%。到着ロビーは大きなスーツケースを押す中国人らで込み合った。

 家族で降り立った上海在住の女性(40)は「温泉が楽しみ。佐賀牛や竹崎ガニなど食べ物も魅力」と笑顔。5度目の日本旅行で佐賀は2度目。今回は3泊すべて県内で、唐津市や藤津郡太良町などを観光する予定。

 減速が懸念される中国の景気については「上海ではあまり感じない。特に旅行は影響なさそう」と話し、中国国内の海外旅行ブームの堅調さをうかがわせた。